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2015年7月4日土曜日

第一期の出品作品

三期に分けて開催される「太閤山ビエンナーレ2015」、第一期は7月3日(金)で終了しました。第一期で展示終了する作品をご紹介しておきます。


入り口広場にほど近い虹の浮橋のかどに展示されているのはベテラン、埴生雅章さんの「TAIKOYAMAの風に」。
設置場所の状況を見事に活かした、洒落たインスタレーションです。緑の中に置かれた赤と白が風をはらんで、さわやかな印象を残します。


ふるさとギャラリー入口の大きな窓のある休憩コーナーの場をうまく活かしたのは本郷仁さんの「Captive Gaze ~between the moons~」。
Captiveは「魅せられた」、Gazeは「凝視」という意味だそう。二つの大きな鏡がゆっくり回転する空間は、ちょっとくらくらするような非日常的体験です。


ギャラリーに入って埴生雅章さんの「現象」(1)~(3)と「痕跡」(1)~(2)は不思議に千変万化する色彩の世界。
表現のひきだしの豊富さだけではなく、それをスパッと作品化する見切りの良さにベテランの味が出てますね。



清河恵美さんの水墨表現による「風・影 I」と「風・影 II」の連作は、作家のご自宅近くの何気ない風景を描いたもの。
極彩色で不定形な画面に大作を描くことの多かった作者ですが、近年の水墨シリーズは一見では穏健な表現に見えて、日常に潜む不穏な気配を描く視覚の鋭さはさらに深化中。



注目の若手、江藤玲奈さんの作品は、「おどり」(二点組)、「ピラミッド」、「楽しいを求めて」 。
一部が透けて見える独特の視覚で生きものの連続的な動きを描き出す表現は、生々しいものなのに妙にさっぱりとしたところもある、何ともユニークな作品群。



第一期最年少の橋本朋香さんの作品は「food」、「ポップコーン」、「パンケーキ」のアクリル画による大作三点。
色づかいが印象的な彼女の作品は、荒削りなところもありますが、好きなものを気持ちよく描き切って幸福感を感じさせるまっすぐさが魅力的です。




ベテラン舘寿弥さんの作品は和紙を貼り重ねた絵肌がなんとも味わい深い「相-I」、「相‐II」、「重層する円還」と、かわいい立方体の「相」が二組。
イメージを排して絵画の物質性を前面に出した表現は素晴らしい完成度。それだけに取っつきにくい印象を与えそうなところで、小さなキューブに引き込まれる巧みな構成。


同じくベテラン、能島芳史さんのフランドル技法による大作は「風蝕・南瓜 A」、「風蝕・南瓜 B」の二点。
干からびたカボチャの内面にミクロコスモスやマクロコスモスを見いだす独自の視点は近年継続しているモチーフ。手間暇かけて丹念に磨きこまれた絵肌に輝いて見えます。


堀敏治さんの大作「ささえになるもの」二点は、日本画の画材で描かれていますが、そういったジャンルの概念を超えた平面表現。
宇宙とも大河の流れとも読み解けるディティールは驚くべき密度と完成度で描きこまれながら壮大な物語性を暗示しているかのようです。


アール・ブリュットの画家、末永征士さんの大作「ハナデストハッパ」は大画面にマーカーなどの誰でも使える、ありふれた画材で描かれています。
技術的完成度の高い画家たちの間にあって、末永さんの作品はごく普通の道具しか使っていませんが、純粋な「描く喜び」の比類ない強さはこの会場でも際立って見えます。


水野利詩恵さんの大作「ヘルマフロディトスと見知らぬ女」は、神話の中の両性具有の人物を、なんと「すのこ」をつないだ上に描かれています。
細部に目をやると、彼女がいかに木目に魅せられ、材料との戯れを楽しみながら作品を描いているのかがよくわかって、微笑ましい気持ちになります。


玉分昭光さんの銅版画は「縁‐親子‐」、「ナリタチ‐親子‐」、「ナリタチ‐風景‐」、「ナリタチ‐始まり‐」、「縁‐さよならの舞‐」の5点。
画家みずからの生に根ざした個人的な物語を親密に描き出した作品は、銅版画の技法を駆使した表情豊かな表現で、観る人を画面にひき込む力があります。


太閤山荘の庭で聴こえている曽根朗さんの作品「思い出せない些細なこと」は、マリンバの音と特殊なノイズが約18分間でひとサイクルするサウンドインスタレーション。
どこからか聞こえる心地よいマリンバの音色にひき込まれ耳を傾けると、聴覚を覆い尽くすノイズがじょじょに強まり、突如訪れる静寂の一瞬。「あ!?」と心ふるえる体験です。


野外に展示してある作品などの多くは、第二期以降も継続して展示されます。また、第一期を通して公開制作されていた展望塔の岡部俊彦さんの巨大インスタレーションをはじめ、第二期から姿を現す野外展示の作品もあります。
第一期、大変おおぜいのお客様にご来場いただき、アンケート等で多数のご感想をいただくこともできました。心より感謝申し上げます。
明日明後日は展示替え、第二期も第一期に劣らず各作家の意欲作が展示される予定となっておりますので、ぜひご高覧いただきますよう、どうかよろしくお願いいたします。

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