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2015年7月15日水曜日

北日本新聞で第二期アーティストトークを紹介くださいました

今朝の北日本新聞に、文化部寺田デスクの記事が掲載されました。猛暑の日曜日、パフォーマンスからアーティストトークまでの長丁場を熱心に取材いただき、軽妙な語り口で太閤山ビエンナーレの魅力をご紹介くださいました。

われらが太閤山ビエンナーレは、名前のせいなのか、“越後妻有”とか“瀬戸内”みたいな国際芸術祭っぽいのを期待してくるお客様も少なくないので、われわれもそんな風にイメージがぶれる部分もあります。でもこの展覧会は、同じ富山の作家たちが「全身全力の手作り」で取り組んでるということがすごいところ。客寄せになるような高名な招待作家とかはいませんけれど、だからこそ伝わるものもあるのです。

そして県外のお客様も意外に少なくないのですが、アンケート等を見れば、結果としてこの皆さんにも「富山の現代作家たちの水準はすごい!」と言わせる内容に実はなっています。

そういうことは、実際に現場に足を運んで見てもらわないと言葉では伝えきれないものがあります。
「富山のアートは面白く盛り上がってきている」ということを、皆さんにはやっぱり自分の目で体験してもらうと、全体の状況もさらに面白くなってくるという相乗効果が起きるのです。

毎週アーティストトークをやるのも実は大変なのですが、一般の皆さんもどしどし参加して、アーティストたちとの対話を楽しんでほしいと思っています。

2015年7月9日木曜日

第一期の展評を尺戸智佳子さん(黒部市美術館)にお送りいただきました

「太閤山ビエンナーレ2015-富山の美術家たちの今」 第1期を見終えて

尺戸智佳子

 「富山県に在住する作家たちが世代を超え、流行に左右されることなく次代を切り開くことを目指して今年も集まりました。平面から、立体、インスタレーションに至るまで分野は問わず、ベテラン・中堅作家から若手までの広い世代が互いに刺激し合い、切磋琢磨する場、総勢約50名の作家みずからが主導して立ち上げ推進する「手作り」の展覧会です。富山の美術家たちの「今」をどうぞごらん下さい。」(太閤山ビエンナーレ2015「ごあいさつ」より)

 「流行に左右されることなく次代を切り開く」という一文に、地方で制作する作家たちの葛藤と決意を強く感じた。それは突き詰めてみるとどのような事だろうか。
 
 メイン会場はふるさとギャラリーで、ここには主に平面作品とインスタレーションが設置されている。本郷仁の《Captive Gaze ~between the moons~》は円形の枠に三角形の鏡がレリーフのように組み合わされた2対の立体が吊られてゆっくり回転している。鑑賞者の身体が所々に映るので、まるで切り取られたように身体の一部がクローズアップされる。玉分昭光の銅版画は、「ナリタチ」や「縁」のようにテーマが普遍的であった。古事記のような神話性や洞窟の壁画のような懐かしさが感じられ、細部をじっくり鑑賞することも楽しかった。アートNPO工房COCOPELLIに所属するアールブリュット・アーティスト末永征士の作品は他と一線を画す鮮やかさと開放感のある作品であった。
 屋外展示の作家は、公園内の好きな場所に作品を設置できるようで、その設置場所を探すところから制作がスタートするという。設置場所等に関して会場側との合意が必要だろうし、破損のリスクも高い中で作家の負担も大きいと聞く。美術館主催ではためらいがちであるが、作家主体の展覧会だからこそ思い切った場所に展示できる。くごうあいは、船の形の作品《Color Spectrum Ships~光・水・紋~》が気持ちよく佇むことのできる木漏れ日のきれいな小川を選んだ。会場の空間を意識したサイトスペシフィックな作品だ。ニュートラルプロダクション《beeping space》は射水館という休憩所にサウンドインスタレーションを設置した。ビーっという「音」についてのミニマルな作品であろうか。作家の言葉によると様々な「対」の境界を示す音のようだ。広い敷地内を散策する夏の展覧会、自販機のアイスクリームを食べながらベンチに腰をかけ音に耳を傾けた。後に、彼らの作品はかなり深いメッセージが含まれていたためアーティストトークを聞くと楽しかったと知った。ほぼ毎週末アーティストトークも頻繁に行っている。鑑賞者の立場としては作家の感性を共有できることはとても興味深く嬉しい。
 次に、太閤山荘という古民家の庭に一歩踏み入れると、曽根朗のサウンドインスタレーション《思い出せない些細なこと》ピンクノイズという信号とマリンバの音楽が流れる。ピンクノイズと太閤山荘が在る環境とのミスマッチは意図的なものであるようで、逆説的に世界の豊かさを感じさせる狙いがある。2階である屋根裏に展示された三隅摩里子の作品は、丸く切った段ボールのようなものを幾層にも重ねたインスタレーション《在る記憶》である。木造の屋根裏の美しい空間と歳月のなかに佇んでおり、庭から漏れ聴こえるノイズや音楽までもがその空間に取り込まれていた。

 今年の太閤山ビエンナーレは第1期から第3期にかけて出品作家が入れ替わる。第1期の出展者は22名と1組、作品展数は1度で鑑賞するのにはちょうどよい点数であった。しかし総勢約50名が一堂に会した量感もすばらしかっただろうとも思う。また太閤山ランドは、たまたま遊びに来る近隣の親子等が突然作品と出会うことが多い会場である。作品全てにおいて作家の言葉が添えられていたり、作家の小作品がプレゼントされるコーナーが設けられていた。先にふれたアーティストトークもあり、彼らが鑑賞者とどのように対話をするかということに対して開かれた意思が感じられた。
 作品について印象的であったことは、時代や社会への関心というよりは、宇宙的なもの、内向的なもの、自然や時の流れへの関心を示す作品が多かったように思われた。決して一概にできるものではないけれど、富山の豊かな自然に囲まれた環境で制作していることで何か影響することがあるのだろうか。そのような事を考えながら第2期、第3期を楽しみにしたい。

 「流行に左右されることなく次代を切り開く」とは、富山という地域で自身の表現をつきつめ若い世代を育てることなのだろうか。むしろ、その後に続く「切磋琢磨する場」という言葉が示すように、太閤山ビエンナーレという場で各々が自身の高みをめざす。地域おこしでもなければ、大規模国際展のようなテーマに沿ったグループ展でもない。太閤山ビエンナーレは富山の作家たちが各々をキュレーションしながら自身の表現を切り開いていこうとする芸術運動であるのかもしれない。


 (しゃくどちかこ 黒部市美術館)


本郷仁《Captive Gaze ~between the moons~》



くごうあい《Color Spectrum Ships~光・水・紋~》


三隅摩里子《在る記憶》


末永征士《ハナデストハッパ》


玉分昭光《縁‐さよならの舞‐》

2015年7月6日月曜日

北日本新聞で第二期スタートが紹介されました

今朝の北日本新聞で太閤山ビエンナーレの第二期スタートを大きく取り上げていただきました。いつもありがとうございます。
http://webun.jp/item/7196041
第二期はギャラリー外での展示作品もさらに増えて、展望塔はもとより、野鳥観測所、太閤山荘、紫陽庵などでチャレンジングな作品の数々が展示されていま す。また第一期からガラリと変わって若手中心のフレッシュな陣容がそろったギャラリー内の展示もいい会場に仕上がっています。
第一期のアンケートを受けて、キャプションの字を見やすくしたり、会場内の案内看板を増設したり、工夫もしてみました。第二期にもますます大勢の皆様にご来場いただきたいと願っています。どうぞよろしくお願いします!


2015年7月4日土曜日

第一期の出品作品

三期に分けて開催される「太閤山ビエンナーレ2015」、第一期は7月3日(金)で終了しました。第一期で展示終了する作品をご紹介しておきます。


入り口広場にほど近い虹の浮橋のかどに展示されているのはベテラン、埴生雅章さんの「TAIKOYAMAの風に」。
設置場所の状況を見事に活かした、洒落たインスタレーションです。緑の中に置かれた赤と白が風をはらんで、さわやかな印象を残します。


ふるさとギャラリー入口の大きな窓のある休憩コーナーの場をうまく活かしたのは本郷仁さんの「Captive Gaze ~between the moons~」。
Captiveは「魅せられた」、Gazeは「凝視」という意味だそう。二つの大きな鏡がゆっくり回転する空間は、ちょっとくらくらするような非日常的体験です。


ギャラリーに入って埴生雅章さんの「現象」(1)~(3)と「痕跡」(1)~(2)は不思議に千変万化する色彩の世界。
表現のひきだしの豊富さだけではなく、それをスパッと作品化する見切りの良さにベテランの味が出てますね。



清河恵美さんの水墨表現による「風・影 I」と「風・影 II」の連作は、作家のご自宅近くの何気ない風景を描いたもの。
極彩色で不定形な画面に大作を描くことの多かった作者ですが、近年の水墨シリーズは一見では穏健な表現に見えて、日常に潜む不穏な気配を描く視覚の鋭さはさらに深化中。



注目の若手、江藤玲奈さんの作品は、「おどり」(二点組)、「ピラミッド」、「楽しいを求めて」 。
一部が透けて見える独特の視覚で生きものの連続的な動きを描き出す表現は、生々しいものなのに妙にさっぱりとしたところもある、何ともユニークな作品群。



第一期最年少の橋本朋香さんの作品は「food」、「ポップコーン」、「パンケーキ」のアクリル画による大作三点。
色づかいが印象的な彼女の作品は、荒削りなところもありますが、好きなものを気持ちよく描き切って幸福感を感じさせるまっすぐさが魅力的です。




ベテラン舘寿弥さんの作品は和紙を貼り重ねた絵肌がなんとも味わい深い「相-I」、「相‐II」、「重層する円還」と、かわいい立方体の「相」が二組。
イメージを排して絵画の物質性を前面に出した表現は素晴らしい完成度。それだけに取っつきにくい印象を与えそうなところで、小さなキューブに引き込まれる巧みな構成。


同じくベテラン、能島芳史さんのフランドル技法による大作は「風蝕・南瓜 A」、「風蝕・南瓜 B」の二点。
干からびたカボチャの内面にミクロコスモスやマクロコスモスを見いだす独自の視点は近年継続しているモチーフ。手間暇かけて丹念に磨きこまれた絵肌に輝いて見えます。


堀敏治さんの大作「ささえになるもの」二点は、日本画の画材で描かれていますが、そういったジャンルの概念を超えた平面表現。
宇宙とも大河の流れとも読み解けるディティールは驚くべき密度と完成度で描きこまれながら壮大な物語性を暗示しているかのようです。


アール・ブリュットの画家、末永征士さんの大作「ハナデストハッパ」は大画面にマーカーなどの誰でも使える、ありふれた画材で描かれています。
技術的完成度の高い画家たちの間にあって、末永さんの作品はごく普通の道具しか使っていませんが、純粋な「描く喜び」の比類ない強さはこの会場でも際立って見えます。


水野利詩恵さんの大作「ヘルマフロディトスと見知らぬ女」は、神話の中の両性具有の人物を、なんと「すのこ」をつないだ上に描かれています。
細部に目をやると、彼女がいかに木目に魅せられ、材料との戯れを楽しみながら作品を描いているのかがよくわかって、微笑ましい気持ちになります。


玉分昭光さんの銅版画は「縁‐親子‐」、「ナリタチ‐親子‐」、「ナリタチ‐風景‐」、「ナリタチ‐始まり‐」、「縁‐さよならの舞‐」の5点。
画家みずからの生に根ざした個人的な物語を親密に描き出した作品は、銅版画の技法を駆使した表情豊かな表現で、観る人を画面にひき込む力があります。


太閤山荘の庭で聴こえている曽根朗さんの作品「思い出せない些細なこと」は、マリンバの音と特殊なノイズが約18分間でひとサイクルするサウンドインスタレーション。
どこからか聞こえる心地よいマリンバの音色にひき込まれ耳を傾けると、聴覚を覆い尽くすノイズがじょじょに強まり、突如訪れる静寂の一瞬。「あ!?」と心ふるえる体験です。


2015年6月28日日曜日

第一期最後のギャラリートーク盛況でした!

早いもので第一期もまもなく終了します。今日は第一期最後のギャラリートークということで、おおぜいの来場者を迎えて、賑やかに楽しいトークをすることができました。


出品作家もベテランから若い世代までですが、来場者の皆様も幅広い世代の方々がおいでくださり、とても熱心に作家たちの話に耳を傾けてくださいます。











ギャラリー内の各作品を観終わった後は、射水館へ移動してニュートラルプロダクションさんのサウンドインスタレーションについて、作家のお二人から話を聞きました。
今日はさまざまな作家たちそれぞれの素材についての話などが面白かったのですが、最後のサウンドインスタレーションでは、「音」が素材。日本画家にとっての和紙や岩絵の具という素材も、なぜその素材なのかと問われれば、人それぞれに経緯はあり。表現したいことがあって素材を探求することもあれば、素材に触発されて表現が深まることもあり。そんな作家それぞれの背景に思いをはせながら、来場者の皆さんも作品との新鮮な出会いを楽しんでいただきたいと思ったのでした。

2015年6月27日土曜日

明日は第一期最後のギャラリートークです

早いもので、明日6月28日は第一期最後のギャラリートークです。


このご案内がどこに貼られているかというと


太閤山ランドの入口にある赤い屋根ギャラリー


第一回のときのアンケートに、展示の全体がわかりにくいという来場者の声があったのを受けて、今回はこの赤い屋根ギャラリーに太閤山ビエンナーレのインフォメーションコーナーを設置させてもらっています。


実行委員の作家たちの手作り感あふれるこのコーナー、太閤山ランドを訪れたら、ぜひのぞいてみてください。
まもなく第一期も終了ですが、第二期、第三期とインフォメーションコーナーもアップデートしていき、その都度最新の情報をご紹介していく予定です。

第一期の出品目録もできています。実行委員もがんばっています。第一期をまだご覧になっておられない方は、お早目にお出かけください!

2015年6月21日日曜日

6月21日のアーティストトーク

6月21日のアーティストトークは、まずトムスマ・オルタナティブさんのパフォーマンスからスタートしました。場所は本郷仁さんの作品が展示されている場所。「本郷庵」なのだそうです。




トムスマさんは地球なのですが、自転する本郷さんの鏡の作品とはいい感じに引き合う引力があるようです。


目立たぬところでサウンドのオペレーションをしていた本郷さんの姿も、鏡に映って共演してます。















パフォーマンスのあとはギャラリートークへ。


水野利詩恵さん


玉分昭光さん


そして滝流れの道まで歩いて、くごうあいさん

パフォーマンスの余韻冷めやらぬまま、作家たちの生の声を聴いていただき、大勢の参加者の皆さんにも満足いただけたようでした。